かもめCafe

大学で働くっておもしろい!?ヨココク若手職員が「大学職員の仕事」を紹介する大学非公式ブログです。

海外研修を終えて

こんにちは、櫻井です。日本学術振興会での2年間の国際学術交流研修を終えて3月末にフランスから帰国し、4月からは学務・国際部国際課国際交流係の配属となりました。

フランスならではの考え方や価値観を理解し、フランス語でのやり取りにも少しずつ自信がついてきたところでの帰国となり後ろ髪をひかれる思いもありましたが、緑あふれるキャンパスと元気な学生の姿に、また大学で仕事ができるということをうれしく思っています。

今日は研修を通じて考えたことを少し文章にしてみようと思います。
海外研修期間中、研修生は各自の関心あるテーマにそって研修課題に取り組みます。(興味のあるかたは日本学術振興会のホームページに掲載されていますので、ご覧ください。) この研修課題のなかで、私は日本に研究滞在経験のあるフランスの研究者にアンケートを実施しました。ある項目で、日本の大学の国際化を5段階で評価してもらったところ、「十分達成できている」の5を選択した人はひとりもいませんでした。その理由として挙げられているのは、やはり「言語の壁」でした。
その一方で、やみくもに英語の授業や英語プログラムを増やすことを懸念するコメントも見られました。世界のどこでも「英語」という共通の言語で教育や研究ができるようになれば、より高い質が求められることになるのは当然です。世界と同じ土俵に立ったときに、「日本で学ぶこと、日本で研究すること」の意義やその魅力を発信できなければ、国際的な競争のなかに埋もれてしまう、そんな懸念は同じく非英語圏であるフランスも直面している課題なのかもしれません。

今、日本の大学は今グローバル化に向けてさまざまな努力をしています。 ただ、海外協定校を増やすこと、ダブル・ディグリーを導入すること、留学生や外国人教員の比率を上げることは手段であって、本来の目的は学生ひとりひとりに優れた教育を提供することだと思います。
学生が在学中に、留学や海外経験も含めて何を学ぶのか、どのような経験するのか、その「選択肢」を増やすことが大学教職員の仕事ではないかと思っています。

 私が1年間を過ごしたストラスブールはドイツとの国境にあり、フランスとドイツのあいだで歴史的に翻弄された地になります。第二次世界大戦中には多くの学生や教員がナチス・ドイツとのレジスタンスに身を投じ、多くの犠牲を出しました。最後に、詩人のルイ・アラゴンがその犠牲を悼んで詠んだ詩を引用したいと思います。

「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」(「ストラスブール大学の歌」)

もう一度、大学とは何か、原点に立ち返って、大学職員として仕事をしていきたいです。

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ストラスブールのオフィスから見えるサン・モーリス教会)